法人化&事業承継編スタート!〜法人化への道のり②〜

法人化&事業承継編スタート!〜法人化への道のり②〜

前回は法人化をするのを迷っていた3つの理由について書きましたが、今回は逆に法人化を決めた3つの理由について書きます。

今年の3月。恒例の税理士さんとの確定申告後の面談を終え、恒例の店長とのプチいさかいを経て、自分なりにぐるぐると悩んだ上で、「よっしゃ、デメリットはとりあえずいろいろわかってるけど、やっぱり法人化しよう!」と決めたのには、3つの理由がありました。

①経営のスケルトン化とスタッフの評価

今まで私は個人事業主として仕事を続けてきました。
個人事業主としての私の収入源は

・本業(執筆業)

・副業(店舗経営)

・その他

に分かれていました。

この「本業」が、非常にクセモノなのです。

執筆……特に私のような、取材もスタッフもなくて、完全に自分の頭の中と、図書館の資料をメインにするお仕事の特徴として、

利益率が、ほぼ100%である。

ということがあります。

数年に一度のパソコン、プリンター、iPadなどの買い換え、
必要に迫られて購入する参考資料や教科書
外部と協力する場合は外注工賃やスタッフの時給。

これらがあるとはいえ、かかる経費はごくわずかです。
しかも基本的にお仕事は待ってたら依頼がいただける、
もっとほしいときは積極的に営業をかける、
4年に一度の繁忙期(教科書改訂年)には特に増収が見込める。

ということで、限りなくローリスク、ハイリターンの構造です。

一方、店舗経営というのは…まったくこの真逆なんです。

いつお客さんが来なくなるか、あるいは爆発的に来るようになるかが読めない。

突然の機器の故障や仕入の増加でお金が必要になることもあるので、常に内部留保を確保する必要がある。

人件費や仕入があれば、数百万入っていた通帳が一気に空になる、ということも頻繁にあります。

しかも、もうひとつの大きな問題として、本業は事業税がかからない。店舗経営は事業税がかかる。

そのため、どちら側の経費なのかがあいまいな仕訳は、店側に組み入れるというのが税理士さんの方針でもありました。

ここで、毎年店長とのプチいさかいになるのが

「で、結局うちの店は儲かってるの?」

「いや…それが、なんとも言われへん…」

「なんで? これだけ売上上がって、人件費とか経費でこれだけやよね? じゃあ、これだけ残ってるよね?」

「いや、通帳にはそれだけあるけど…」

というやりとり。

でも実際、通帳に残高が残っていたとしても、来月にはフレーバーを仕入れ、お給料を払って、しかも消費税の引き落としもあるから、これ、完全に消える。

しかも、いずれもう一店舗を出すとか、エアコンの数年後の入れ替えとか数年後の改装に向けて、置いとかないといけない分もある。
(うちの店は5回のオープンや全面改装をしていますが、すべて自前で融資なしです)

この現場の感覚と経営の感覚の食い違いは、つねにお店を続ける上での消えないわだかまりとなっていました。

そこで決めたのが、「もう完全に、お店と私個人の収入を分けてしまおう」ということ。

正直、今までは店が赤字になっても、自分の収入から埋めればいいか、ということで、スタッフの給料の設計も経費の管理もシビアさに欠けているところがありました。

さらにぶっちゃけたところの正直、最初の数年は本当に完全なる赤字経営だったので、本業の節税だと割り切り、採算の把握を意識的に避けていたところがあります笑

売上がアップしてようやく一息つけるようになったので、完全に切りはなしてもこの事業だけでひとり立ちできる(最悪赤字になっても、役員貸付というかたちで補填ができる)。

そして、本当に余裕があるのなら、スタッフに還元する分もフェアに示したいというのが一つ目の動機でした。

②10年後を見据えた店づくり

うちの家系はとにかく女が強くて、ちょっと笑っちゃうほどよく働く。

一方で、女性は短命な人が多く、祖母や伯母は40代で亡くなっています。
私の母と叔母は同じ年に仲良くステージ4の胃がんが見つかったのですが、私自身、彼女たちがガンと診断された歳に近づいてきました。

そして、10代の頃から今までに、何人か、大切な人のごく若い死を経験しました。

その結果の、私の悲観的ではない冷静な実感として、

人って、けっこうあっけなく、簡単に死ぬものだ。

というのがあります。

今まではもし突然何かあっても「ごめん!あとはどうにかがんばるなり閉めるなり適当にやって!」と幽体離脱しながら謝り倒したらいいか、くらいで考えてたのですが、そうも言っていられないくらい店も大きくなり、そう無責任に後始末をお願いするわけにもいかないな、とぼんやり考えるようになっていました。

さらに、うちのお店をここまで育ててこれたのは、私一人の力ではなく、まちがいなく店長を筆頭とするスタッフのがんばりだ、というのがあります。

自分がやめるからもういいか、ではなく、自分がいなくても店が回るように、時間をかけて育てていく必要がある。

さらに、できることなら突然私がいなくなってもどうにか店を存続させるためのシステムを構築したい。

「私がいつ店から身を引くか、その後どうするか」という悩みは以前からあったのですが、それをクリアするために10年の時間をかけて株を店長に譲り、いずれは経営権を引き渡すという計画的な承継を行いたいと思いました。

③スタッフへの責任

もともと、うちの店をスタートさせたときは、ダブル店長システム。

一人は途中で抜けましたが、少なくともこの子たちの暮らしはちゃんと支えていく必要があると思い、待遇の面でも、たとえ赤字でもここは補償することを考えてきました。

その後スタッフは増えましたが、最初はできるだけ大学生アルバイトを中心にし、「生活について責任はもてないけどごめんね」というスタンスを続けてきました。

ところが、一部の学生スタッフは大学卒業と同時に店も卒業したものの、他のスタッフは卒業してもそのまま勤務続行。

さらに、シフトが大学生スタッフだけでは回らなくなり、フリーターの雇用も増えてきました。

私にとって決定的だったのは、あるスタッフの雇用。

ちょっと一日では帰省できないところに実家があって、最初は大学生だったものの卒業してそのままうちに就職してくれることになりました。

これが「就職」であると胸を張って故郷のお母さんに言えるようにしてあげたい。
ちゃんと社会保険も出る、将来的に住宅ローンも組めるしカードも作れる「株式会社」の「社員」にしたい。
今後がんばって続けてくれるスタッフにも、もし望むならそういう形で働けるようにしたい。

今回の法人化は、制度としては微妙…
節税や効率化の面から言えば、むしろ握手なのかどうなのかというぎりぎりのところです。

でも、働いてくれるスタッフにも、お客さんにも、誠実な形で続けていきたい。
これが、法人化を決意した大きな理由でした。

次回は、法人化に向けての具体的なスケジュールについて書きます。
(つづく)


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